本は脳を育てる ~北大教職員による新入生への推薦図書~ 

推薦者 :  笹岡正俊      所属 :  文学研究科      身分 :  教員      研究分野 :  環境社会学
大学での「学び」で何を掴み取るのか
タイトル(書名) 優秀なる羊たち : 米国エリート教育の失敗に学ぶ
著者 ウィリアム・デレズウィッツ著 ; 米山裕子訳
出版者 三省堂
出版年 2016年
ISBN 4385365784
北大所蔵 北大所蔵1 
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推薦コメント

「社会というのはそれ自体が、真実から遠ざかり、それに触れまいとする陰謀だ。僕らは宣伝工先にどっぷりつかって一生を過ごす。―商品の広告、政治家の弁舌、現状を伝えるジャーナリズムの断言、大衆文化の陳腐な表現、当や会派やクラスの会則・・・(中略)・・・プラトンはこれをドクサ(注:推測に基づいた考え、見方)と呼んだ。その力は・・・(中略)・・・お構いなしに浸透していくほど強い。真の教育(リベラルアーツ教育)の第一の目的はこのドクサを認識し、疑問に感じ、それにとらわれずに考える術を教え、そこからわれわれを自由にすることなのである」

 以上は元イエール大学英文学教授で現在はジャーナリストである著者が大学におけるあるべき教育について語った本書の一節です。

著者は、アメリカのエリート教育が生み出したのは、才能に溢れ、意欲的である一方で、小心で常に不安を抱え、本当の意味での知的欲求に乏しい、ただ定められた方向へ進む、従順な、「優秀なる羊」だといいます。こうした「羊」にならないために、大学では何をどのように学べばよいのか、そして、お仕着せでない人生の道を探すにはどうすればよいのか。本書はアメリカのエリート教育の分析・批判書ですが、北大で学ぶ学生諸君にも、こうした問いについて考える重要なヒントを与えてくれるはずです。

本書は三部構成になっており、教育関係者に向けて書かれた部分と若者に向けて書かれた部分があります。学生の皆さん(特に一年生の皆さん)には、若者を「真の学び」へと誘う第二部を読んで欲しいと思います。


※推薦者のプロフィールは当時のものです。

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