本は脳を育てる ~北大教職員による新入生への推薦図書~ 

推薦者 :  佐々木亨      所属 :  文学部      身分 :  教員      研究分野 :  博物館学
「修行とは矛盾に耐えること」とは、名言?、迷言?
タイトル(書名) 赤めだか
著者 立川談春
出版者 扶桑社
出版年 2015
ISBN 459407362X
北大所蔵 北大所蔵1 
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推薦コメント

 私がこの本に出会ったのは、つい最近です。それは、このところ落語に興味を持ってきたことに関係しています。著者の立川談春は、5年前に亡くなった立川談志の弟子です。
 談志は、名言、迷言、暴言の多い落語家でした。名言としては、「修行とは矛盾に耐えることである」、「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬という」など、短い文で人間の行為の本質を的確に捉えたものが多いです。この本には、その談志の弟子である談春の修業時代からの苦労話が、たくさん詰まっています。
 私は、もう一度20歳代に戻りたいかと聞かれると、戻りたくないと答えます。なぜならば、社会人として、そして再び大学に戻った院生として、自分の中での価値観が定まらないまま、混沌とした日々を過ごしていた時代だからです。でも、この本を読むと、この時代は、自分にはよくわからないけれど、妖しく、危険な、でもとても大切な時代だと、あらためて感じます。

※推薦者のプロフィールは当時のものです。

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