君は、「面白い研究」をつまらなくプレゼンできないはずだ |
タイトル(書名) | : |
勝率2割の仕事論 : ヒットは「臆病」から生まれる |
著者 | : |
岡康道 |
出版者 | : |
光文社 |
出版年 | : |
2016 |
ISBN | : |
4334039251 |
北大所蔵 | : |
北大所蔵1 |
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推薦コメント |
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岡はクリエイティブディレクターであり、またコマーシャルを作成するプランナーの肩書きを持つ。大手の広告代理店に勤めた後、仲間と独立し「TUGBOAT(タグボート)」(広告代理店)の代表を努めている。その岡が本書で強調するのは、「仕事の勝率は2割でよい」ということではない。岡が、クライアントの要求を超えて、彼らが気づいていない隠れた意図を提案したり、メッセージ性の強い仕事をしていると、結果的に勝率は2割になってしまうということだ。
彼の仕事と研究者の仕事の共通点は、「人の金」を使って仕事をしていることである。彼らはクライアントの資金を使い、研究者は税金を使うことで研究を遂行する。岡がこだわるのは、「その恐ろしさを噛みしめる」ことである。いつもこれで大丈夫なのだろうかという臆病さこそ、よい仕事に繋がるのだ。研究者は、岡と同じ立場にいる。人の金を使う怖さを知り、ひたすら問い続けることがよい研究を生み出す。
もちろん現実には、派手なプレゼン資料や、華美な言葉で飾った研究が注目されることは多い。それは避けようがないが、面白い、筋のよい研究は、プレゼンで飾らなくても輝く。岡は、「面白い企画をつまらなく説明することはできない」と言い切る。つまり内容が面白ければ、相手は必ず興味を持つので、内容のない研究をプレゼンで魅力的にする必要はないという。指導教員が気づかない「そんな手があったのか」という研究を恐る恐る提案してくる学生を、大学の世界は待っている。 |