| |
ここ何年かの間に、メディアで「昭和の○○」といったことばを少なからず読んだり聞いたりすることがある。女優の黒木華さんは「昭和顔」と言われているそうだ。昭和32年(=考えてみればちょうど昭和の半分の年)生まれで、経済の高度成長とともに成長し、1988年のバブル最盛期に就職した僕から見ると、「『昭和』をそんなに簡単にノスタルジーにするな!」という怒りにも似た気持ちを禁じ得ない。それは、僕個人にとって昭和がリアルタイムであると言うだけのことではなく、昭和時代に現れ、あるいは作られた様々な問題・課題から我々が未だに解き放たれているとは言えないからだ。政治しかり、経済しかり、教育もまたしかり、である。今の学生諸君にはメディアの動きに乗っかって、「昭和」を自分たちには関係ない過去の一つの時代区分に過ぎないなどと思ってもらいたくなく、まずは簡単にでもいいからその通史的知識を知ってもらいたいと思い、(些かの怒りを込めて)この本を推薦したい。 |