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この本を「本は脳を育てる」に推薦することに対して旧帝国大学である“天下の北海道大学”の真面目な先生や優秀な学生から異論や批判が巻き起こるかもしれない。筆者自身も、この本に書いてあることは100%そのままであるとは思いたくないし、著者がやや大げさに書いている=「話を盛っている」面もあるかもしれないと思っている。しかし、他大学につとめる友人知人の現場の声を聞くと、ここに書いてあることを頭ごなしに否定することもできないと思う。そして、筆者自身が何より恐れるのは、―ここまでひどくないとしても―これらに近似する状況がここ数年の間に静かに北海道大学にも忍び寄っているのではないかということである。筆者は普段外国人留学生ばかり教えているので、たまに日本人学生の授業を担当すると余計にそうした面に目が向くのかもしれないが、過去何年か「一般教育演習」を継続して開講してきた経験から言うと、この本の内容を北大に縁のないことと完全に切り捨てる自信は筆者にはない。この本を頭から信じる必要もないし、自分には関係ないことだと思って笑い飛ばしてくれる人が多ければ多いほどいいのだが、一抹の不安とともにここに挙げておく。 |