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台湾の社会学者・王甫昌先生の著作の日本語訳。つい先日刊行されたもの。原題は王甫昌(2003)『當代台灣社會的族群想像』臺北:群學。台湾の高校生、大学1・2年生向けに行った授業をベースにして書かれたもので、非常にわかりやすい説明である。
族群(エスニシティー)概念の説明から、台湾の「四大族群」(閩南人/客家人/外省人/原住民(先住民))の説明、そして「四大族群」がどのようにして現在のような「四大族群」になったのかを解説している。族群が族群たる根拠・正当性といった、族群の内実を述べるのではなく、族群自体が歴史的・文化的・社会的条件によって可変的なものであることを踏まえて、いかにして現在の「四大族群」が成立されるにいたったのかという視点から書かれている。
また非常に有益なのが、巻末の文献紹介が充実していることである。エスニシティー研究の基本書(欧米のもの)から、台湾における族群研究の文献まで幅広く取り上げられている(電子化されているものも結構ある)。どの文献がどういうものかについても説明がなされているので、このリストを辿っていけば、エスニシティー研究の理論や台湾の族群に関する理解が深まっていくように思われれる。 |