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最近の出版業界は「脅迫産業」めいてきたところがあり、本の表題にやたらと「知らないと恥をかく~」だの「あなたもきっとだまされる」だの「~のウソ」だの「その○○は恥をかく」だの、これでもかとばかりに読者を不安がらせ(て買わせ)ようとするフレーズを入れるものが多い。こういった表題の本は、おおむね中身はたいしたことがないので買わないことにしているが、ここに挙げた内館氏の本は、その大仰な表題に似合わず、今使われている、あまり適切とは言えないことばづかいを丁寧に拾い上げて論評しており、まさに「人の振り見て我が振り直せ」で、自分の日本語の使い方を振り返ってみるためのいい機会を与えてくれるものとなっている。
恥ずかしながら、日本語を教えることをメシの種にしている僕もここに挙げられていることばのいくつかは余り考えずに使っていて、思わず襟を正したところである。今の日本語の有り様を知りたいという知的好奇心からでもいいし、自分の日本語を振り返ってみたいという動機からでもいいので、是非読んでみてほしいと思う。 |