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去る3月11日の地震・津波による福島第一原発の事故は様々な疑問を投げかけます。事故の発生という事実に直面してからでは遅いといわれそうですが、原子力に携わる人々や事故に対処する政府関係者や事故の直接の当事者などの個人的資質にも疑念を呈したくなりますし、それを許容する社会の制度にも不信を抱かざるをえません。この本はそういう疑問に答えてくれそうですし、考えるきっかけを与えてくれそうです。以下、著者のあとがきより引用します。
・・・・・原子力のような巨大システムの安全確保に不可欠なのは、設備の運転や保守に携わる人のシステムに対する深い理解であり、そのために必要なことは、現場の人たちに「科学するこころとちから」を培うことだ、と考えてきました。しかし今さらながら気がついたのは、研究者・学者にその「科学するこころとちから」が失われているという惨状でした。とくに民主主義を根底から否定するような情報統制に口をつぐむ・・・・・・この二つ(科学的思考と民主主義)が欠如した「原子力村」とは、日本社会のさまざまな「村」の典型に過ぎなく、日本社会の構造的な歪み、換言すれば日本社会の「病」の縮図なのであって、すべての日本人にとって決して他人事でないのだ、と思います。・・・・・・・
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