附属図書館の利用公開 


 北海道大学は道内唯一の総合大学として,建学以来多様な主題からなる研究・教育用図書資料を収集してきており,平成14年4月現在の全学の蔵書は340万冊を数え,学習・調査・研究を目的とした学内の教職員・学生のみならず学外の利用者に幅広く利用されています。

1. 地域利用者への拡大
 北海道大学附属図書館は,平成14年11月から,地域に開かれた大学図書館として,利用登録手続きの簡素化のほか,これまでは研究者に限定されていた図書の貸出を本学の卒業・修了生,道内一般市民(20歳以上)の方にも拡大し,地域住民の調査・研究および生涯学習に利用していただけるようになりました。(詳細は 楡蔭No.114 参照)
 平成14年11月から15年2月までの新規登録並びに利用状況は表1のとおりです。 閲覧室では,学生に混じって市民の方が調べ物をする光景も日常化しており,このことは学生・市民利用者相互に少なからず刺激を与えているものと思われます。

   表1(平成14年11月1日〜15年2月28日)

区分本館北分館小計
市民登録数 102人 26人 128人
市民貸出数 186冊 69冊 255冊
1日利用証数 2,906人 219人 3,125人


2. 大学図書館と他の図書館との役割分担
 北海道内には国公私立大学に設置された大学図書館のほか,道立・市町村立の公共図書館,研究機関等に設置される専門図書館があり,各々その設置目的に即した運営とサービスが行なわれています。今日のように,多量かつ多様な形態で図書情報が出版されるようになると,各図書館は単独で必要な情報源を不足なく収集することは,最早,不可能といわざるをえません。そこで,図書館同士が連携したサービスが重要となってきます。
 大学図書館は,共通目的を持つ大学図書館間では従前から連携した複写を含む相互利用を実施していますが,地域という枠組みで考えると,他の館種である公共図書館,専門図書館とも密な連携サービスが求められることになります。平成13年から藤女子大学と石狩市民図書館が連携の協定を結んだことは,その典型といえます。
 学生が道立・市立図書館を利用して,地方史の研究をしたり,市民が大学図書館の専門資料を使って調査をするなど,相互に特性を活かした図書館活動が拡大していくものと思われます。
 ただし,相互協力は,各図書館が自館のニーズにもとづき,必要とする図書資料を責任もって収集・整備することが前提であることを確認して置く必要があります。
 Web上に各図書館が蔵書目録を公開することにより,横断的に検索することも可能となりつつあり,今後はますます,利用者にとって使い易い仮想図書館が出現するものと期待されます。

3. 学術情報ポータル=大学図書館
 大学図書館は,これまではその蔵書を公開することにより地域に貢献してきましたがWebを介した情報発信基盤が整備されたことを受けて,地域に限定することなく,広く内外に研究成果を発信公開することが可能となってきました。
 附属図書館はこれまで,学内各部局から成果出版物を提供してもらい情報公開に備えてきましたが,大学のネットワーク上に蓄積された有用な学術情報資源を対象とした基本情報(標題、作成者、URL等)をメタデータとして登録・公開し,学内外からのアクセスに備えることも緊要な課題となっています。 既に,本館・北分館をはじめ,各部局図書室が連携したNIIのメタデータ構築事業も始まり,附属図書館が学術情報ポータルとして機能する日も近いものと思われます。

(情報サービス課)


◆次の記事へ移る  ◆前の記事へ戻る    ◆目次へ戻る   ◆ホームページへ戻る