平成13年度特別図書購入費で購入した資料

前衛雑誌復刻集成
 世紀の変わりめを通過した現在、かつて「前衛」とよばれた運動の決して少なくない数が、豪華な全集版として書棚に分類されている。軍事用語からとられた呼称をもつ、この攻撃的な運動とはいったい何だったのか?ジャン・ミシェル・プラス社『前衛雑誌復刻集成』は、フランスを中心に出版された前衛雑誌の復刻を通じて、当時の運動を今に伝える。本集成は「ダダ」紙や「シュルレアリスム革命」紙など、運動を知る上で不可欠な資料をはじめとした全25巻から編まれる。運動としての射程を今、再び問い直すにせよ、あるいは実証研究に不可欠なドキュメントとして対象化するにせよ、前衛運動とは何だったのか、この不確定な問いに答えるために本集成は欠くことのできないものとなるであろう。

心理学百科事典 全8巻
 20003月に新たに刊行されたアメリカ心理学会(APA)とオックスフォード出版局との共同出版による権威ある百科事典である。1,000人を越える世界各国各分野の権威により執筆され、行動心理学、認知心理学、発達心理学、教育心理学、社会心理学等、心理学に関わる全ての分野を含んでいる。また、古典的理論から最新の理論までカバーされ、基本的概念、方法論、研究、成果、治療、療法はもちろんのこと、各分野で発生した問題点についても言及されており、大変使いやすい内容となっている。

Managing the Environment for Sustainable DevelopmentVol.1 ? 6
 今日の地球環境問題は、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄という経済社会の仕組みに対して根本的に再検討を促し、環境に対する負担を最小限にしようとする循環型システムへの移行を目指すものとなっている。地球上のあらゆる生命の生態系を保護し、危機を予測し計画的に管理していくことは、人類の継続的発展のための最重要課題である。本シリーズは、地球環境問題に対処するための基本的理念や多くの提案や計画について、これまでさまざまな分野で発表された論文を精選し、都市・農村・水資源・有害廃棄物・危機管理計画・倫理と哲学の6つのテーマ別に収録したものであり、環境問題の基本文献として人文・社会・自然科学各分野にとってきわめて有益である。

日本植民地文学精選集 全20巻
 満州編(全6巻)、朝鮮編(全6巻)、台湾編(全8巻)の三部構成となっている。それぞれの地域出身の作家および日本人作家による、1940年前後の作品を所収している。

戦後社会福祉基本文献集III期 全30巻
 国民的課題でもある社会福祉のあり方を考えていく上で欠かすことのできない戦後の重要文献を収録している。194575年までを対象に体系的に集められており、関心のあるだれもが読まなければならない必読文献集でもあるといえる。

University Reform in Great BritainPart 1: Oxford and Cambridge 14 vols.
 本書は、19世紀の英国における大学改革に関わる論争を、現在では入手困難なオリジナル資料の復刻版によりたどるコレクションである。改革賛成派のみならず反対派の議論も含めて幅広く資料を収録し、現在の英国高等教育の制度や慣行、言説がどのような経緯により成立したかを知ることができる。教育史、社会史はもとより教育哲学、教育社会学、教育政策などの研究者に利用可能な資料集である。

ル・ジャンドル台湾紀行 全4巻
 本書(原題『李氏台湾紀行』)は、Notes of Travel in Formosa と題して1874(明治7)年にル・ジャンドルが書いたものを太政官正院で翻訳・編修したものである。台湾出兵の根拠となった日本政府顧問ル・ジャンドルの幕末・明治初年の台湾実情報告集。国立公文書館所蔵本の復刻版である。

La presomption d’innocence全13巻  
 本書は、2000615日に公布されたフランスの「無罪推定の保護と被害者の権利強化に関する法律」の議会資料をまとめたものである。同法の法案が1998年に初めて国民議会に提出されたときは、わずか40箇条のコンパクトなものだったが、議会審議の中で膨大な修正変更を経て、最終的にできあがった法律は142箇条にも及ぶ。全13巻からなる本書は、このダイナミックな議会審議の資料を完璧に網羅する立法過程集成であり、本書によってはじめて無罪推定法の歴史的意義が明らかになると思料される。

Zeitschrift fuer Wirtschaftsrecht 1993-2000
 名称こそ「経済法雑誌」というものだが、扱う領域は民法・商法・民事訴訟法・破産法と私法全般にも及んでおり、内容的には論文のみならず、裁判例も取り上げられている。またドイツ法のみならず、むしろ近年はヨーロッパ統合をにらみ、ヨーロッパ全体にかかわる問題が取り上げられており、ドイツ語文献ばかりでなく、時として英語・フランス語・その他の言語の論稿も掲載されている。特にEU市場の域内統一の動きが激しい昨今では、EU全体にかかわる論稿が多く、ドイツ語圏におけるEU法のフォーラム的役割を果たしており、古典的な法学者もこれに参加し、注視の的となっている。現代ドイツ法のみならず、現代ヨーロッパ私法を語るうえで必要不可欠な文献と言え、引用頻度も極めて高い文献である。

Trusts and Trustees,nd ed.全23巻
 アメリカ信託法に関する基本的な体系書。信託の設定と管理に関係する法を網羅的に説明している。信託の定義、起源、分類、設定、期間、受託者の権限・義務・責任、受益者の種類・権限・権利に関する法を説明している。

中外物価新報(復刻版)1886? 1889第19巻−第30巻
 『日本経済新聞』の前身で、1876 (明治9)年に創刊された。当初週刊、のち1878年より週2回刊行、1882年より週3回刊行を経て、1885年より日刊となる。創刊時より全国主要都市の「商況」即ち物価及び株価データと解説を掲載、他に「海外商況」及び米相場の速報等の「電報」にも紙数を割いている。1889年『中外商業新報』、1942年『日本産業経済』と改題、1946年『日本経済新聞』と改題し、現在に至っている。本誌は既にマイクロフィルム版が(株)ニチマイより刊行されており(後継紙『中外商業新報』の昭和期の一部のみ文学部所蔵)、その復刻版である。

Mainstream & critical social theory全8巻
 この資料は、マルクス、ヴェーバー、ミード、パーソンズなどの、19 〜 20世紀を代表するとともに、現代社会理論の古典となった諸論文と、それらを受け継ぐかあるいは批判的立場を採用することでそれらから影響を受けた現代の主要な理論家の代表的業績をまとめた論文集であるとともに、編集者による、それらの諸業績をテーマごとに整理し、200年間の社会理論の動向の全体像を概観できるオリジナル論文を掲載した現代社会理論のガイドブックとしての性格をもつものである。

都市問題文献書誌 戦前編(大正14〜昭和20)・別巻 全11巻
 雑誌『都市問題』の毎号巻末に付けられている「都市問題索引」は研究上有益なものである。なぜなら、主要な諸雑誌に発表された都市に関する記事や論文の書誌を掲載しているのが、この「都市問題索引」であり、これによって発行時点の最新論文が一覧することが可能になるからである。雑誌『都市問題』は大正14年に創刊されている。本書は、創刊から昭和20年までの戦前分および別巻(補遺・索引・解説)から成る全11巻である。

Race and ethnicity : critical concepts全4巻
 20世紀における人種と民族に関する知識に焦点をあてた、あらゆる形態の著作物およそ100点を網羅した文献集である。全体を4つのテーマ「理論」「アイデンティティとコミュニティ」「人種主義」「多文化主義と統合」に分け、関連分野に携わる研究者の便宜をはかると同時に、人種的、民族的構造および行動から引き起こされた政策論争について研究・調査されている方々の要にも応えられる内容となっている。

戦時新聞検閲資料
 戦時における新聞の検閲に関する資料である。

Columbia Journalism ReviewVol. 5 - 37
 コロンビア大学におけるジャーナリズム研究のレビューである。


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