「平成12年度大学図書館職員長期研修」に参加して
                            情報システム課目録情報掛   吉竹 忍

  文部省及び図書館情報大学主催の標記研修が、さる平成12年7月10日から7月28日までの3週間にわたり実施され
ました。 
  研修期間の3週間のうち、最初の1週間は筑波地区(図書館情報大学、筑波大学)で、残りの2週間は東京地区
(主に国立オリンピック記念青少年総合センター)で開催され、講義、演習、見学、共同研究討議等多彩なプログラムで
実施されました。 
  本研修の目的は、「大学における教育・研究活動の急速な進展に伴い、学術情報の迅速かつ的確な提供が重要
となっており、大学の中核的な情報資料センターとしての大学図書館が果たす役割はますます増大している。」という背
景をもとに「中堅職員に対し学術情報に関する最新の知識を教授し、職員の資質と能力の向上を図ることにより、大学
図書館の情報提供サービス体制を充実する。」ことにあります。
  参加者は全国各地から国立32名、公立1名、私立3名の計38名(男性20名、女性18名)でした。
  講義内容は、1)総論、2)電子的図書館機能の整備とその推進、3)資料の整備と相互協力、4)国立情報学研究所
の活動、5)情報サービスとその支援、6)関連講義等、7)その他(関連講義、共同研究討議、研修・見学)であり、これま
での知識や経験を再認識、再確認させられる講義や新しい情報を享受することができる講義で、いずれも図書館職員
として今後の業務の遂行に大いに役立つものでした。
  講義の中で私が特に興味深かったのは電子図書館、電子ジャーナルそして大学図書館と情報処理センターの連携
についての講義でした。
  これらの講義の中では、電子図書館システムを構築することや電子化された情報をサービスするためには、現在の
大学図書館の組織・機構では、対応がむずかしくなりつつあるという話が特に印象に残りました。
  偶然にもグループ討議での議題が「電子図書館時代の図書館の組織・機構の在り方」ということでしたので、講義の
内容を参考に討議をすることができました。また、グループ参加者がそれぞれ所属する大学の現状を話し合い、電子図
書館システムが既に構築されている機関の事例等と比較・検討することで、問題点や課題を多少なりにも浮き彫りにす
ることができたものと思われます。討議の中では、そうした状況を打破するために、図書館が他の組織・機関と連携する
こともその一つの方策であるということが多くの意見としてあがりました。
  施設の見学は、筑波大学附属図書館、東京大学附属図書館、凸版印刷、国立情報学研究所、国立国会図書館、
国文学研究資料館、東京工業大学附属図書館の各施設で研修と見学を行いました。筑波大学、東京工業大学の電子
図書館システムは、詳細な説明を受け印象に残りました。また、国立情報学研究所で見せていただいたNACSIS-ILLの
Web上での自学自習システムは、今後の目録講習会等の在り方を変えるもののように感じました。凸版印刷で見せて
いただいた「トッパンバーチャルリアリティ」は、3次元グラフィックスを駆使しあたかもその場にいるような疑似体験が得
られるシステムで、今後の電子出版の可能性が拡がる印象を受けました。
  この研修に参加して、全国各地から集まった研修生のみなさんと親睦を深め、情報交換できたことは、かけがえの
ない貴重な体験であり、また、大きな収穫でもありました。
  最後になりましたが、このような有意義な研修の機会を与えていただいた職場の上司、同僚の方々、また、文部省
をはじめ研修中大変お世話なった図書館情報大学のみなさま、各施設並びに各講師の皆様方に、この紙面をお借りし
てお礼を申し上げます。ありがとうございました。




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