矢田俊隆名誉教授の蔵書の寄贈について
  
                      法学部教授 田口 晃
 
本学の名誉教授矢田俊隆先生はわが国におけるドイツ史研究の泰斗であられ、とりわけ大著「ハプスブルク帝国史研究」などの業績を通じハプスブルク帝国史研究の第一人者として歴史学の分野で令名を博してこられた。昨年暮、永年収集してこられた個人の蔵書を北大に寄贈したいというありがたいお申出があった。ただ、周知のように本学の図書館は収納の余裕に乏しいため、全蔵書をお引き取りする分けには行かず、未蔵のものだけを頂戴したい、と聊か虫のよいお願いをしたのであったが、快く御理解をしていただいた。当初は和書も含め400点程を寄贈して下さるとのお話しであったけれども和書は重複が多いので洋書のみとさせて貰った。お送り頂いた288点から重複分を除き、最終的に本図書館に寄贈していただくことになったのは計165冊である。図書の種類を見ると、主要なものはメッテルニヒ関係の文献から始まって、ハプスブルク王家史、ドイツ語圏やハンガリーもふくむ1848年革命を対象としたもの、ハプスブルク帝国の再編所謂「アウスグライヒ」に関わるもの、あるいはオーストロ、マルクス主義として名高い社会主義運動関連文献、さらにはハプスブルク帝国の崩壊の研究、史料に至るまで、ハプスブルク帝国史の様々な時期と分野をカヴァーしている点に最大の特色がある。その他共和国になってからのオーストリアやドイツ史、東欧史の研究書も含まれている。特に1970年以前に出版された書籍に本学図書館に漏れており、しかも今日では入手困難な貴重な文献が多く含まれているのであり、これにより、北大図書館は日本有数のハプスブルク帝国史関連蔵書を持つことになる。蔵書の充実を喜ぶとともに、矢田先生に心から感謝いたしたい。また関係各位にもお礼を申し上げる。配架は混配となるが、インターネット上では一つにまとめて掲載する予定だと聞いている。御関心の向きは一度のぞいて見てください。


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