コレクション 【 その他 】 (2002年度収集分)

16・17 世紀ロシア出版物集成(マイクロフィルム)  /  ロシア在外歴史文書館カード目録(マイクロフィッシュ)


スラブ研究センターニュース「図書室だより」に掲載の解説などを編集したものです。


(1) 16・17 世紀ロシア出版物集成(マイクロフィルム)

このフィルムは、А.С. Зернова の編集した総合目録 Книги килилловской печати, изданные в Москве в XVI - XVII веках: сводный каталог (Москва, 1958) に基づいて、レーニン図書館 (現ロシア国立図書館) 等の蔵書を撮影して製作されたものである。 従って、ヴィリニュスやリヴォフ、オストロークなどでの出版物は含まれない。 付録してきたリストを見た限りでは、書誌に掲載された資料 500点余の資料のうち、10点余りの例外を除いて、ほとんどの資料を収録していて、リール数は320を超える。 これは、もともとは、General Microfilm Publications 社によって製作・販売されたが、現在は Norman Ross 社が販売しているものである。 国内で、このマイクロフィルムのセットを所蔵するのは、おそらくこれが最初であろう。

これとは別に、スラブ研究センターは、18世紀ロシア出版物集成を収集中であり、今回の購入によって、モスクワで出版が開始されてから、18世紀に至るまでのロシアの出版物ののかなりの部分をセンターにいながら利用できるようになった。


(2) ロシア在外歴史文書館カード目録(マイクロフィッシュ)

ロシア在外歴史文書館 Русский заграничный исторический архив в Праге は、1923 年にプラハに設立された、ロシア人亡命者に関する資料センターである。 文書館には、文書部 отдел документов と並んで刊本部 отдел печатных изданий および新聞部 газетный отдел が設けられ、ロシア革命前および革命後の両方について、在外ロシア人に関する資料の最も包括的なコレクションがここに形成された。

1945 年 5 月にヨーロッパにおける第二次世界大戦が終結してまもなく、ソビエト連邦とチェコ政府との交渉によりロシア在外歴史文書館は解体され、収蔵資料の多くは、ソ連邦科学アカデミーに寄贈するという名のもと、ソビエト側に引き渡されることとなり、文書資料の多くは十月革命中央国家文書館 ЦГАОР (現在のロシア連邦国家文書館 ГАРФ) に搬入された。しかし、刊本部および新聞部の収蔵資料はその対象外とされ、大部分がプラハのスラヴ図書館に保管された。 ただし、その存在は公表されないままにおかれ、公開には 1991 年を待たなくてはならなかった。

今回図書室が購入したのは、プラハのチェコ国立図書館の一部であるスラヴ図書館に現存する、ロシア在外歴史文書館刊本部および新聞部のカード目録を撮影して製作したマイクロフィッシュである。 図書の部 82 枚、雑誌の部 22 枚から成り、各フィッシュは、縦 18 コマ、横 28 コマづつ目録カードを収録する。 新聞の部は、163 枚から成り、各フィッシュの収録コマ数は、縦 13、横 16 である。

図書の部は、革命前から戦間期にかけてロシア・ソ連邦内外で出版された約 4 万タイトルの資料を目録している。 タイプ打ちの部分もあるが、手書きの方が多い。 新聞の部は、ほとんど手書きであり、ところどころ判読困難な部分があるものの、各号の受入記録が付いた完全なものであり、それ自体亡命ロシア人研究の基本資料として意義深い。