ヘンリク・ゲルシンスキー旧蔵ポーランドコレクション

ヘンリク・ゲルシンスキー旧蔵ポーランドコレクション

The Henryk Gierszynski collection

[1987年度 大型コレクション]
本コレクションは,幾多のポーランド亡命者組織のリーダーとして活躍したヘンリク・ゲルシンスキー氏旧蔵の19世紀から20世紀初頭における激動のポーランド社会を物語る歴史資料である。

形態 オリジナル
数量 1,320冊
言語 ポーランド語
購入年度 1987
貸出
複写 可(一部不可)

資料一覧


*資料紹介(『楡蔭』No.75,p.11-12より)

ゲルシンスキ文庫(The Henryk Gierszynski Collection)

スラブ研究センター教授 伊東孝之

 ゲルシンスキ文庫は1830~1918年のポーランドの独立運動,社会主義運動についての原資料であって,ポーランド近現代史研究にとって欠かせない。文庫はポーランドの歴史,政治,社会,思想,文学,言語,文化,風俗などの研究と教育に用いられる。文庫の資料は1830年から 1918年に及んでいるが,それはなお外国の支配下にありながら,現代ポーランドの民族意識,政治組織,文学,風俗などの基本方向が形成されたきわめて重要な時期であり,わが国でいえば明治維新期に当たる。資料の形態は亡命政治家,知識人,学生などの発行した雑誌,パンフレット,書籍,集会の議事録,文書の草案,書簡,その他である。それは上記テーマにとってまさに恰好の資料である。北海道大学ではポーランド語,ポーランド文学,ポーランド史, ポーランド政治,ポーランド法,ポーランド経済についての授業が展開されており,ゲルシンスキ文庫の資料は十分研究と教育のために役立てることができる。

 北海道大学はスラブ研究センター,文学部,法学部,経済学部,言語文化部に多くのポーランド研究者を擁し,おそらく一大学としては全国最大の集積を示している。またスラブ研究センターの事実上の全国共同利用センターとしての性格から,全国各地のポーランド研究者との往来が盛んである。したがって研究資料への需要が大きく,とくに近現代史関係の資料への需要が大きい。ゲルシンスキ文庫は,両大戦間期の独裁者で,日本とも関わりの深いユゼフ・ピウスツキに指導されたポーランド社会党関係の資料を最も多く含んでいるが,それはスラブ研究センターのスタッフをはじめとするわが国の研究者が切実に必要としているものである。また同文庫はユゼフの弟でアイヌ研究者として名高いブロニスワフについての資料も含んでいるため,文学部の教官及び大学院等の研究者にとって必要である。