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この本は、標題だけを見るとかつてのカレル・ヴァン・ウォルフレンの『人間を幸福にしない日本というシステム』の二番煎じのように見えてしまうが、内容は組織論あるいは経営制度論の観点から見た日本人の働き方/働かせ方の批判的考察である。これを読むと、企業も学校も芸能界も自治体も町内会も、およそ人が集まって作られる目的集団がいかに機能不全を起こしやすいかがよく分かる。筆者はその点について、かなり大胆な処方箋を提示してくれているが、欲を言えばもう少し突っ込んで対策を書いてくれるとより面白くなったと思う。自分の将来の仕事のあり方として会社勤めを選択する人だけがいるわけではないだろうが、個人事業主を選択したとしても、そこで働いたことを現金収入に変えるためにはどうしても組織と関わらねばならない。そのときに少しでもよりよい働き方を選ぶにはどうしたら良いか考えるための好適な本である。 |